世界中で広く利用されている代表的な自己管理型ウォレットの一つであるMetaMask(メタマスク)は2025年12月16日に、ビットコイン(BTC)への正式対応を開始したことを発表しました。世界中で広く利用されている代表的な自己管理型ウォレットの一つであるMetaMask(メタマスク)は2025年12月16日に、ビットコイン(BTC)への正式対応を開始したことを発表しました。

メタマスク、ビットコインにネイティブ対応|BTC交換でRewardsポイントも貯まる

メタマスクから「ビットコイン対応」の正式発表

世界中で広く利用されている代表的な自己管理型ウォレットの一つであるMetaMask(メタマスク)は2025年12月16日に、ビットコイン(BTC)への正式対応を開始したことを発表しました。

メタマスクは、イーサリアム(ETH)やイーサリアム仮想マシン(EVM)互換チェーンを中心にサポートする代表的なウォレットであり、最近ではその他のブロックチェーンに対応するための取り組みも進められていましたが、今回の発表ではユーザーがデフォルトのインターフェース内でビットコインの送信・受信・管理をシームレスに行うことが可能になったことが報告されています。

これは、Web3業界における二大ネットワークの垣根を取り払う歴史的なアップデートであり、数千万人規模のユーザーベースを持つメタマスクがビットコインをネイティブサポートすることで、仮想通貨の普及がさらに加速することが期待されています。

ビットコイン関連機能の仕様と主な特徴

今回のビットコイン統合における最大の特徴は、ユーザー体験(UX)の劇的な簡素化にあります。

従来、イーサリアム系のアカウント(0x…で始まるアドレス)とビットコインのアドレス(bc1…などで始まるアドレス)は異なる技術基盤(アカウントベースとUTXOベース)の上に成り立っており、これらを一つのシークレットリカバリーフレーズで安全かつ直感的に管理することは技術的なハードルが高いとされてきました。

しかし、メタマスクの新たなビットコインウォレット機能は、既存のメタマスクアカウントに追加のセットアップを行うだけで即座にビットコインアドレスを生成し、利用を開始することができます。

ユーザーはメイン画面のネットワーク切り替え、またはマルチチェーン表示機能を通じて、保有するBTC残高をETHやその他のトークンと並べて確認することが可能です。

具体的に実装された主な機能や仕様としては以下のようなものがあげられます。

  • ビットコインの購入:
    ホーム画面の「購入」ボタンをタップすると、現地通貨または別の決済方法でBTCを購入可能。利用可能な決済方法は地域によって異なり、デビットカード、クレジットカード、Apple Pay、PayPal、銀行口座などが利用可能。
  • メインネットBTCの送受信:
    サードパーティ製のブリッジやラップドトークン(WBTCなど)を介さず、ネイティブなビットコインを直接送受信することが可能。(※現在はSegWit派生パスに対応、Taprootも近日サポート予定)
  • ビットコインへのスワップ:
    メタマスクに組み込まれているスワップ機能を使用して、EVMネットワークまたはSolanaからBitcoinに資金を移動できる。
  • 単一のシークレットリカバリーフレーズ:
    既存のメタマスクのリカバリーフレーズ(12語または24語)を使用して、ビットコインウォレットの秘密鍵も管理・復元することが可能。
  • ガス代(手数料)の最適化:
    ビットコインネットワークの混雑状況に応じた手数料の自動見積もり機能が搭載され、スムーズなトランザクション実行をサポート。
  • ポートフォリオの一元管理:
    DeFi(分散型金融)で運用中の資産と、価値の保存手段としてのビットコインを単一のダッシュボードで可視化できる。

また、公式発表では「メタマスクでBTCに交換すると、MetaMask Rewardsポイントが貯まる」とも説明されており、「ビットコインのサポートはマルチチェーン拡張の最新のステップであり、2026年にはさらに多くのネットワークが登場する予定」とも報告されています。

市場への影響とウォレット競争の行方

今回の動きの背景には、近年急速に拡大しているビットコイン・エコシステムの進化があります。Ordinals(オーディナルズ)やRunes(ルーン)といった新規格の登場、さらにはビットコインレイヤー2(L2)ソリューションの台頭により、ビットコインは単なる決済・送金ネットワークから、Web3(分散型ウェブ)のアプリケーションプラットフォームへと進化しつつあります。

メタマスクはこのトレンドを捉え、EVMチェーンとビットコインチェーンの双方をカバーすることで、Web3へのゲートウェイとしての地位を盤石なものにする狙いがあると考えられます。

メタマスクによるビットコイン対応は、仮想通貨ウォレット市場における競争環境を一変させる可能性があります。これまで、ビットコイン保有者は「Phantom、Xverse、Leather」といった、ビットコインやソラナなどを得意とするマルチチェーンウォレットや「Ledger」などのハードウェアウォレットを利用する傾向がありました。

特に、Solana系ウォレットとして台頭したPhantomがビットコイン対応を早期に実装し、イーサリアムユーザーの取り込みを図っていたことに対し、メタマスクは今回のアップデートで強力な対抗策を講じた形となります。ユーザーにとっては「メタマスクさえあれば主要な資産はほぼ全て管理できる」という状態に近づくため、複数のアプリを使い分ける手間が大幅に削減されます。

また、この統合はブロックチェーン業界全体にとってもポジティブな影響をもたらすと期待されます。イーサリアム上のDeFiユーザーが、慣れ親しんだインターフェースを通じてビットコインを保有・運用しやすくなることで、ビットコインの流動性がさらに活性化する可能性があります。

逆に、ビットコインを入り口として参入した新規ユーザーが、同じウォレット内でイーサリアムやL2ネットワーク上のDApps(分散型アプリ)に触れる機会も増えるでしょう。

今後の展望として、メタマスクは単なるBTC送受信にとどまらず、ビットコインチェーン上でのDApps接続や、クロスチェーンスワップ機能の強化を進めていくと見られています。

例えば、メタマスク上でビットコインを直接イーサリアム上のステーブルコインに交換したり、ビットコインを担保にしたレンディングプロトコルへシームレスに接続したりする機能が実装されれば、DeFi市場に流入するビットコインの資本は莫大なものになるでしょう。

長らく分断されていた「ビットコイン経済圏」と「イーサリアム経済圏」が、世界最大のウォレットの中で融合を始めたことは、2025年の仮想通貨市場における最も重要な転換点の一つと言えるかもしれません。

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source:MetaMask
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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