2023年ガイダンス撤回で規制緩和へ 連邦準備制度理事会(FRB)が、州加盟銀行の活動を制限していた2023年の政策声明を撤回し、新たに連邦準備法9条13項に関する政策声明を12月17日に発表した。 新方針は、銀行の安全 […]2023年ガイダンス撤回で規制緩和へ 連邦準備制度理事会(FRB)が、州加盟銀行の活動を制限していた2023年の政策声明を撤回し、新たに連邦準備法9条13項に関する政策声明を12月17日に発表した。 新方針は、銀行の安全 […]

FRB、州加盟銀行規制で方針転換。抑制的な2023年政策声明を撤回

2023年ガイダンス撤回で規制緩和へ

連邦準備制度理事会(FRB)が、州加盟銀行の活動を制限していた2023年の政策声明を撤回し、新たに連邦準備法9条13項に関する政策声明を12月17日に発表した。

新方針は、銀行の安全性・健全性と金融システムの安定を前提としつつ、新技術や革新的金融サービスへの取り組みを可能にする枠組みを示すものとなっている。

FRBは2023年、州加盟銀行が自己勘定で行える活動について、原則として全国銀行に認められた業務に限定するとの方針を明確化していた。当時FRBは、暗号資産(仮想通貨)を含む新規かつ前例のない活動に対するリスクや監督上の期待を強調していた。

しかし今回FRBは、暗号資産分野に関する理解の進展や、イノベーション促進の方針転換を踏まえ、関連する一連の声明が撤回・終了されていることから、当該方針はもはや適切ではないと判断した格好だ。これらのことから、2023年政策声明および、暗号資産関連活動に言及していた補足説明を撤回した。

新たな政策声明では、「同一の活動・同一のリスクには同一の規制を」そしてそれに対応する原則として「異なる活動・異なるリスクには異なる規制を」という原則に対するFRBのコミットメントが明確にされた。これにより、革新的な金融サービスであっても、そのリスク特性に応じた規制判断を行う姿勢が示されている。

FRBのミシェル・ボウマン(Michelle W. Bowman)副議長は発表の中で、「新技術は銀行の効率性を高め、顧客により良い商品やサービスをもたらす」とした上で、「責任あるイノベーションへの道筋を示すことで、安全で健全、かつ現代的な銀行セクターを維持する」とコメントしている。

なお米暗号資産メディア「ザ・ブロック(The Block)」によれば、撤回された2023年の政策声明は、それ自体が暗号資産関連業務を全面的に禁止するものではなかったものの、全国銀行に明確に認められていない活動については、原則として否定的に扱われる枠組みだったとのことだ。

実務上は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった暗号資産を銀行のバランスシートに計上することや、ステーブルコインの発行などが、事実上困難になる効果を持っていたと指摘されている。

また2023年のガイダンスは、暗号資産関連銀行業務を対象とする新規活動監督プログラムや、州加盟銀行がドル建てトークン活動に従事する際の事前通知・異議なし手続きを含んでおり、価格変動の大きさやマネーロンダリング、運用上の脆弱性といったリスクが強調されていた。こうした枠組みは、連邦準備制度がデジタル資産に特化した銀行に対し、マスターアカウント付与に慎重な姿勢を取る背景の一つになっていたとされる。

実際、ワイオミング州認可の無保険銀行であるカストディア銀行(Custodia Bank)についても、2023年のガイダンスが連邦準備制度によるマスターアカウント申請却下を下支えしていたという。カストディア銀行は現在も無保険銀行として100%準備金を維持しており、今回の政策転換により、これまで制約を受けていた一部の新規活動について、FRBの個別判断を求める余地が生じた形だ。

新方針では、保険付き・無保険の州加盟銀行の双方が対象となる点も特徴だ。

無保険の州加盟銀行については、全国銀行や保険付き州銀行には認められていない活動であっても、十分な自己資本や長期債務による損失吸収力を備え、預金流出に対応可能な高品質流動資産を保有し、さらに破綻時を想定した整理・清算計画を整備している場合には、FRBが個別に許可を与える可能性があるとのこと。

新方針では、預金保険に代わる形で金融システムの安定性を確保できるかどうかが、判断の重要な軸になるとされている。

FRBは近年、銀行による暗号資産やトークン関連活動に対して慎重な姿勢を示してきたが、2025年に入り、関連ガイダンスや特別監視プログラムの終了を相次いで発表している。FRBは8月、暗号資産やフィンテック関連業務を行う銀行に対する監督プログラムを終了すると発表した。同プログラムは2023年8月に導入されたもので、銀行の安全性・健全性に関する新たなリスクが生じる可能性があるとの懸念を背景としていたが、終了により今後は通常の監督プロセスに戻されることになる。

今回の政策声明も、一律的な制限からリスクベースの判断へと移行する流れの一環と位置づけられる。ただし、新方針は暗号資産関連事業を無条件に容認するものではなく、各銀行のリスク管理体制や財務健全性に応じた個別判断が重視されるとされている。

なお今回の声明は、FRBの解釈および裁量行使の方針を明確化するものであり、法的拘束力はない。このため行政手続法に基づく意見募集などは不要とされている。

参考:発表・The Block
画像:Reuters

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