Z世代の流入が加速するブラジル仮想通貨市場 ブラジルの大手仮想通貨取引所Mercado Bitcoin(メルカド・ビットコイン)は、2025年の投資家動向に関する調査報告書を公表しました。 同報告書によれば、同国の仮想通 […]Z世代の流入が加速するブラジル仮想通貨市場 ブラジルの大手仮想通貨取引所Mercado Bitcoin(メルカド・ビットコイン)は、2025年の投資家動向に関する調査報告書を公表しました。 同報告書によれば、同国の仮想通 […]

Z世代が牽引するブラジルの仮想通貨市場、ステーブルコインとインカム型トークンが中心に

Z世代の流入が加速するブラジル仮想通貨市場

ブラジルの大手仮想通貨取引所Mercado Bitcoin(メルカド・ビットコイン)は、2025年の投資家動向に関する調査報告書を公表しました。

同報告書によれば、同国の仮想通貨投資家層の中でZ世代(24歳以下)が最も大きく増加し、参加者数は前年から56%増加したことが明らかになっています。

また、若年層の投資家について、価格変動の小さいステーブルコインやデジタル債券などのインカム型トークン(※1)を投資の入口として活用する傾向が強いとしています。

加えて、メルカド・ビットコインが提供するデジタル債券「レンダ・フィクサ・デジタル(RFD)」の2025年における取引量は前年から倍増し、ユーザーに対して総額18億レアル(約510億円)の分配が行われました。

こうした動向を踏まえ、報告書はブラジルの仮想通貨市場が投機中心の様相から計画的な資産運用へ移行しつつあり、その背景にステーブルコインやインカム型トークンの利用拡大があると位置付けています。


※1 インカム型トークン:債や社債、貸付債権などの収益源と連動し、保有することで利息や分配金といった定期的な収益を得られる仕組みを持つトークン

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ブラジル仮想通貨市場に広がる安定志向と構造変化

RFD拡大が示すブラジル市場の安定志向

メルカド・ビットコインによると、若年層の台頭を背景に、ブラジルの仮想通貨市場では安定志向の投資戦略が広がっています。

同社が提供するRFD(レンダ・フィクサ・デジタル)は、現実世界の収益資産を細分化してトークン化したデジタル固定収入商品であり、2025年には投資額が前年から108%増加しました。

メルカド・ビットコインはこのRFDを通じて2025年だけで18億レアル(約510億円)を投資家に分配しており、これらの商品は平均してブラジルの無リスク基準金利(CDI)の132%に相当する利回りを提供しています。

同社によると、ステーブルコインも新規・既存の投資家にとって主要なエントリーポイントとなっており、2025年に同取引所で記録されたステーブルコインの取引件数は前年の約3倍に増加しました。

同報告書は、不透明なマクロ経済環境の中で価格変動が小さい資産に資金を避難させる動きが、RFDやステーブルコインといった商品の取引拡大を後押ししていると位置付けています。

所得階層で分かれる仮想通貨投資戦略

また、単一の銘柄に偏らず複数の仮想通貨に分散投資する傾向も強まりつつあります。

報告書によれば、全投資家の18%が2種類以上の仮想通貨資産に資金を配分しており、単一資産への集中から徐々に分散へ移行していることが示されています。

所得階層による投資行動の差も顕著で、中間所得層の投資家はポートフォリオの約12%を米ドル連動型のステーブルコインに充て、残りの大半(約86%)をRFDのような低ボラティリティ資産に配分する傾向が示されています。

対照的に、所得が低い層の投資家は依然として資金の90%以上をビットコイン(BTC)など値動きの大きい従来型の仮想通貨に投入しており、高リスク高リターンを狙う姿勢がみられています。

メルカド・ビットコインの総取引量も前年から43%増加しており、新規ユーザーの参加や取引は週明けの月曜日に最も活発になる傾向が確認されています。

同報告書は、このパターンについて、仮想通貨が単なる投機的な対象から週次の資産運用習慣の一部へと位置付けられつつあるとの見方が示されました。

ステーブルコイン普及を支える制度対応

規制面でも環境の変化が後押しとなっており、メルカド・ビットコインは制度整備と市場の成熟が同時に進んでいると分析しています。

同社の仮想通貨事業担当バイスプレジデントであるファブリシオ・トタ氏は「ブラジル中央銀行による規制の整備やステーブルコインの台頭といった重要な動きが国内における仮想通貨への関心をさらに押し上げた」と指摘しています。

実際、ブラジルでは2022年に包括的な仮想通貨法が承認され、2025年11月には中央銀行がマネーロンダリング対策や取引業者のライセンス制を含む詳細な規則を発表しました。

同報告書では、こうした制度整備がステーブルコインを軸とする市場再編の前提条件になるとの見方を示しています。

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中央銀行が進めるステーブルコイン規制対応

こうした安定資産志向の高まりを受けて、ブラジルでは規制と市場整備の両面で新たな動きがみられています。

2025年上半期の国内仮想通貨取引額は約2,270億レアル(約6.44兆円)に達し、その約3分の2をドル連動型ステーブルコインのテザー(USDT)が占めたと報じられています。

ブラジル中央銀行はこの状況に対応し、ステーブルコインの売買や送金を外国為替取引と見なす規則を制定、2026年2月から施行する予定です。

証券取引所B3が描くトークン化戦略

また、ブラジルの主要証券取引所B3もブロックチェーン戦略を強化しています。

B3は12月17日、独自のブラジルレアル連動型ステーブルコインを2026年前半に発行し、従来の証券市場とデジタル資産市場を接続するトークン化プラットフォームを立ち上げる計画を発表しました。

同社は、このステーブルコインを決済手段として活用し、トークン化資産取引の円滑化を図る方針です。

こうした取り組みは、ブラジルでステーブルコインやトークン化資産を巡る動きが進む中での事例の一つとされています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1レアル=28.37 円)

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Source:Mercado Bitcoin報告書
サムネイル:AIによる生成画像

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