ナスダック上場のETHZillaは、負債返済を目的として7,450万ドル相当のイーサリアム(Ethereum/ETH)を売却し、これまで採用してきたDAT(デジタル資産トレジャリー)戦略からの転換を進めている。
ETHZillaは2025年12月19日(金曜日)、SEC(米国証券取引委員会)に提出したForm 8-Kで、約24,291ETHを平均価格1ETHあたり約3,068ドル(約48万円)で売却したと明らかにした。売却額は約7,450万ドル(約116億円)に達し、同社は発行済みのシニア担保付転換社債の償還資金として、売却益の全額または大部分を充当する方針を示している。
この取引により、同社のETH保有量は約69,800ETHに減少した。償還対象となる社債は12月24日および12月30日に早期償還が予定されており、手元の現金も含めて返済に充てられる見通しだ。
ETHZillaは、かつてナスダック上場のバイオテクノロジー企業である180 Life Sciencesとして事業を展開していたが、今年(2025年)7月にイーサリアムを中核とするDAT戦略へ転換した。当時は60社以上の投資家と総額4億2,500万ドル規模のPIPE契約を締結し、企業バランスシートへのETH組み入れを進めていた。
しかし今回の売却をもって、ETHを中核資産として積み上げる戦略からは明確に距離を置く姿勢を示した形となる。
DAT戦略を巡っては、市場全体でも環境の変化が指摘されており、複数のDAT関連企業では、時価総額と保有する仮想通貨の価値を比較する指標であるmNAVが1.0を下回る例が増えており、株価が保有資産価値を下回って取引されるケースも目立つ。
こうした状況を背景に、DATモデルを現在の市場サイクルにおける過熱局面と捉える見方も広がっている。ETHZillaは今後の企業価値について、RWA(Real World Asset:現実世界の資産)トークン化事業から生まれる収益とキャッシュフローの成長が重要になるとの認識を示している。同社は、自動車ローンやプレハブ住宅ローン、航空宇宙機器、不動産などを対象とした現実世界の資産のトークン化を進める方針だ。
この戦略転換に伴い、投資家向けの情報開示方針にも変更が加えられた。ETHZillaは、DAT戦略の象徴的な指標であったmNAVダッシュボードの提供を終了し、今後はバランスシートの定期的な更新や、ETHおよび株式に関する重要な変更を、書類提出やソーシャルメディアを通じて開示するとしている。
同社の株価は、過去にピーター・ティール(Peter Thiel)氏がDAT戦略に投資したとの報道を受けて急騰した経緯があるものの、足元では下落基調となっている。一方で、ETHZillaはRWAトークン化事業を新たな成長軸に据え、必要に応じて追加のETH売却や株式発行を含む資本戦略も検討しているとされ、今後の事業展開に市場の関心が集まっている。
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