●BTCのデリバティブトレーダーは、ETFへの強い資金流入が続くなかでも弱気に傾き、週末のボラティリティを想定したポジションを取っている。
●先物取引高と建玉(オープン・インタレスト)の減少は、新たな強気ポジションの構築ではなく、積極的なデレバレッジが進んでいることを示している。
●ETF需要は下落を緩和する可能性がある一方、短期的な価格リスクは依然として高い水準にある。
BTCデリバティブトレーダーは弱気姿勢
ビットコイン価格は16日、週次高値となる9万5800ドルまで上昇した後、急反落し、数時間のうちに約3%下落して9万4300ドルまで下げた。この調整は、週末にかけて政治・マクロ環境の不透明感が高まることを警戒したトレーダーによる攻撃的な弱気ポジションの構築を受けたものだ。
ビットコイン現物ETFには今週、18億ドルの純流入額を記録したが、デリバティブ市場はより慎重な姿勢を示している。Coinglassのデータによると、ビットコイン先物の取引高は34.47%減少して543億1000万ドルとなり、建玉も2.94%減少して626億3000万ドルとなった。取引高と建玉が同時に減少していることは、トレーダーが新たな資金を投入しているのではなく、ポジションを閉じていることを示唆している。
〈Coinglass〉
オプション市場も同様に防御的な姿勢を映し出した。オプション取引高は5.93%減少して37億1000万ドルとなり、オプション建玉も4.94%減少して369億1000万ドルとなった。これらの減少は、短期的なヘッドラインリスクを織り込むなかで、方向性を伴うエクスポージャーに対する需要が低下していることを示している。
記事執筆時点で、ビットコインは9万5000ドルをわずかに下回る水準で推移しており、過去24時間では0.24%の小幅な上昇にとどまっている。ただし、ロング・ショート比率は0.9837まで低下し、1を下回った。これは、短期の取引ポジションが弱気に傾いていることを裏付けるものだ。
こうした動きは、FRB(米連邦準備制度理事会)をめぐる政治的な不透明感が再燃していることとも重なる。ロイターによると、トランプ氏は16日、ホワイトハウスでのイベントでジェローム・パウエルFRB議長の後任候補としてケビン・ハセット氏に言及する発言を行い、FRB人事をめぐる不透明感をにじませた。
トレーダーは、週末にかけてさらなる動きがあれば、リスク資産全体で急激な反応が起きる可能性があると警戒しており、その結果、短期的なヘッジや利益確定が進んでいるようだ。
短期レバレッジが解消されるなか、ビットコインETFが供給を吸収
デリバティブトレーダーがエクスポージャーを減らす一方で、ビットコイン現物ETFを通じた機関投資家の需要は、相場の安定要因として機能している。FarsideInvestorsのデータによると、ビットコインETFには今週合計で18億ドルが流入した。内訳は、12日が1億1670万ドル、13日が7億5380万ドル、14日が8億4060万ドル、15日が1億0020万ドルとなっている。なかでもブラックロックは、14日に6億4800万ドルという際立った資金流入を記録した。
〈FarsideInvestors〉
これらの継続的な流入は、短期的なデレバレッジによって市場に放出された供給を、長期投資家が吸収していることを示している。ETF需要は、BTCを市場から引き上げることで下方向のボラティリティを抑制し、先物市場における投機的な売りの影響を限定する可能性がある。
ただし、現物での強い積み上がりと、デリバティブ市場での参加低下との乖離は、脆弱な均衡状態を浮き彫りにしている。新たなレバレッジ資金が流入し、建玉が再び増加し始めるまでは、ビットコインの価格動向は不安定な展開が続き、マクロ要因や地政学的リスクに関するヘッドラインによって、上昇局面でも調整に見舞われやすい状況が続く可能性がある。
ビットコイン価格見通し:ETF需要は9万3000ドルのサポートを維持できるか
テクニカル指標は、短期的に慎重な見通しを示している。先物取引高と建玉が減少するなか、9万6000ドルを明確に上抜けるための勢いには欠けている。ロング・ショート比率が1を下回っていることも、さらなる下方向の試しが入るリスクを示唆している。
週足チャートでは、ビットコインは、11月に過去最高値となる12万6000ドル付近から急落した後の調整局面を経て、直近のレンジ中間付近で安定を試みている様子がうかがえる。
ブレイクアウト確率(Expo)指標は、強弱入り混じる状況を示している。上方向への継続確率は約30%にとどまる一方、下方向のリスクは52%と高く、反発があったにもかかわらず、弱気圧力が依然として強気の確信を上回っていることを示している。
ドンチャンチャネル(20,0)は、明確な構造的水準を示している。上限は12万6270ドル付近で、前回サイクルの高値に相当し、現時点では到達が遠い。一方、下限は8万0500ドル付近に位置し、サポートが崩れた場合の最悪シナリオとしての下値目安となる。
〈TradingView〉
モメンタム指標は、加速というよりも持ち合いを示唆している。RSI(14)は46まで回復し、売られ過ぎの水準からは脱したものの、中立とされる50を下回っている。これは、売り圧力は和らいでいるものの、買い手が主導権を握っているとは言えない状況を示している。
下方向では、9万3000ドルを維持できなければ、8万8000ドル付近までの一段の調整が視野に入り、さらに深い下落となれば、8万0500ドルの下限チャネル水準までの下落リスクもある。ビットコインがRSIの改善を伴ってドンチャンチャネルの中央値を回復するまでは、ETF需要は新たなブレイクアウトの起爆剤というより、相場の下支え役にとどまる可能性が高い。
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