3月1〜2日に東京・渋谷で開催される「BGIN(Blockchain Governance Initiative Network)Block 14」は、ブロックチェーンのガバナンスと標準化を議論する国際的な実務者会議だ。「Japan Fintech Week 2026」の主要イベントのひとつであり、世界の規制当局や事業者、エンジニア、学術関係者らが集い、政策・技術の多岐にわたる課題を国際標準という視点から議論する。
国際的に見ても極めて重要な会議だが、特に今回は、日本が暗号資産(仮想通貨)の規制法を、現行の資金決済法から金融商品取引法(金商法)に移行させる時期と重なる。
BGINの創設メンバー・共同議長で、日本の金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」の委員も務めるジョージタウン大学研究教授/バージニア工科大学研究教授の松尾真一郎氏は2月5日、JVCEA(日本暗号資産等取引業協会)のメンバーを対象にオンラインで説明会を開催、「金商法に移行するという節目の中で、極めて重要な意味を持つ。ぜひ参加して、積極的に発言してほしい」と語った。
〈松尾真一郎氏、2025年10月に行われたBlock 13のオンライン説明会より|NADA NEWS編集部〉
「業界の提言」に留まらないBGINの重要性
金商法への移行は、国会での審議・成立を前提に進んでおり、成立後は約1年の準備期間を経て施行される見込みだ。現在は、府令やガイドラインなど、実務を規定する詳細なルールづくりが動き出している段階にある。
こうしたタイミングで開催される「BGIN Block 14」は、金商法移行における課題──暗号資産の類型区分、責任準備金のあり方、セキュリティ対策、監査ルールなどを国際的な標準作成という、より高い視点から議論する場となる。
言い方を変えると、業界団体が金融庁に要望や提言を提出するということではなく、世界中の規制当局、事業者、エンジニア、学術関係者など、幅広いステークホルダーがさまざまな課題に対処し、グローバル標準に向けた合意文書としてまとめていく。そして、その成果物は、金融庁にとっても、ルールづくりや実務における判断指針として参照すべき価値を持つ。
結果として、金商法移行に際して整備される府令やガイドラインに一定の影響を与え得ることになる。
14セッションと「金商法」のつながり
BGIN Block 14では、14のセッションが行われ、暗号資産の類型区分、責任準備金、セキュリティ対策など、金商法移行に直結する課題が複数セッションにわたって扱われる。
松尾氏は、説明会で「Block14の議論と各種法令、ガイドラインとの関係」と題し、Block14で議論されるテーマと、金商法移行で議論になると想定される課題の関係を整理した。
責任準備金
金商法移行後の制度設計において、事業者が積むべき「責任準備金」の水準や考え方は大きな課題だ。日本では、その水準や積算方法について明確なモデルがないまま議論が進んでいる。BGINは、国際的な実務者による検討を通じて、より合理的・持続可能な基準を検討する機会となる。
また、責任準備金はサイバーセキュリティ対策や業務委託先との責任分界点といった実務上のリスク管理との関連性において議論される予定だ。
サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティ情報の共有、オフライン鍵管理の標準化など、実運用に直結するテーマ も重要なセッションとして位置づけられている。これらの標準は、単なる技術的要件にとどまらず、規制当局がリスク評価や準備金の水準を定める際の指針となる可能性がある。
AIエージェントを活用したリアルタイムでの脆弱性・インシデント情報共有の仕組みも議論される。
不公正取引規制/分類基準
暗号資産市場における不公正取引の定義や、効果的な規制枠組みの整備に向けて、用語やデータベース整備のプロジェクトも進行している。こうした基盤整備は、日本の不公正取引規制の立案過程にも影響を与え得るテーマだ。
同時に、暗号資産の類型区分に関する議論についても国際的な視点で検討される。
監査ルール
金商法移行後、監査の役割は一層重要になる。監査項目や優先順位をどのように定めていくか は、国内外共通の課題であり、国際ステークホルダーの視点を取り入れた議論が期待されている。
BGIN Block 14スケジュール
3月1日、2日にわたって開催されるBGIN Block 14のスケジュールは以下の通り。松尾氏は特に、1日11時から開催される「暗号資産、ステーブルコイン、トークン化預金の調和」について、「これが個人的には責任準備金の議論にも大事だと思っている。日本でも課題で、実は米国でも課題。アメリカでも交換業や暗号資産に関する事業者がどうすれば健全かつ持続的なビジネスモデルを描けるのかについて、定番の相場感がない」と語った。
さらに、金商法への対応という意味でも、夏ぐらいまでに青写真を作っておく必要があるとし、「事業者の皆さんの考えをインプットしていただけるとレポートに反映できる」と続けた。
つまり、BGIN Block 14は、金商法移行という重要な局面において、国際標準としての視点から責任準備金やセキュリティ対策などの課題を議論する場となる。こうした国際的な議論を国内の政策立案やガイドライン設計に活かすことは、国内事業者にとって大きな意味を持つ。
|文:増田隆幸
|画像:BGIN Block14 説明会資料より
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