国際通貨基金(IMF)は水曜日、米国のインフレ率が連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%に戻るのは2027年初めになる見通しを示した。
この評価は、トランプ政権下初となるIMFによる第4条審査の一環であり、大統領の楽観論とは裏腹に本格的な金利緩和がまだ遠いことを示唆している。
IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は記者団に対し、米国の経常赤字は「大きすぎる」と述べた。IMFは赤字が今後、国内総生産(GDP)の3.5%から4%になると見積もる。
しかし、IMFの処方箋は政権の方針と対立している。IMF西半球局のナイジェル・チャーク局長は、赤字縮小には関税ではなく財政再建が最善の道であると指摘する。この勧告は、最高裁がトランプ氏による広範な非常時関税を違法と判断し、政権側が1974年通商法第122条に基づく代替関税を発動するに至った直後に出された。
米国の財政状況は厳しい。IMFは今後数年間、連邦政府の財政赤字がGDP比7%から8%の水準で推移すると予想する。これはスコット・ベセント財務長官が掲げる目標値の2倍以上となる。統合政府債務は2031年までにGDP比140%に達する見通し。
IMFの調査報告は、トランプ氏による一般教書演説の翌日に発表された。同氏は演説で借入コストについて楽観的な見通しを示した。住宅ローン金利が4年ぶりの低水準となり、年平均での返済額が政権発足以降でほぼ5000ドル減少したと主張し、低金利こそが「バイデン氏が生んだ住宅問題」の解決策だと位置付けた。
しかし、IMFの数字は異なる現実を示す。インフレ率が2027年までFRB目標に届かず、財政赤字も政権目標の2倍に及ぶため、高金利が長引く構図が強まっている。IMFは2026年の米国成長率を堅調な2.4%と試算し、FRBが急いで緩和へ転じる必要性は薄いとの見方を示した。
リスク資産への影響は明白。インフレの粘着性と拡大する財政赤字が、今年の大幅な利下げ観測の可能性を低下させている。2025年後半まで利下げ期待で活況だった暗号資産市場に対し、IMFの評価は慎重さを強める内容となった。
さらに皮肉なのは、IMFが「歴史的規模の減税」と指摘するなど、政権自身の財政拡張こそが高金利を維持する最大要因となっている点にある。トランプ氏は低金利を求める一方で、構造的にそれを阻む政策を進めている格好だ。
IMFは「米国のソブリンストレス(財政危機)リスクは低い」としつつも、債務増、赤字の慢性化、デフレの遅れという道筋が、金利緩和が実現するにしてもそのペースは極めて遅くなる環境を示唆している。
